原画情報: |
|
作者紹介: |
ピエール=オーギュスト(オギュスト)・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir発音例、1841年2月25日 - 1919年12月3日)は、フランスの印象派の画家である。後期から作風に変化が現れ始めたので、まれにポスト印象派の画家とされることもある。
風景画、花などの静物画もあるが、代表作の多くは人物画である。初期にはアングル、ドラクロワなどの影響を受け、モネらの印象主義のグループに加わるが、後年は古典絵画の研究を通じて画風に変化が見られ、晩年は豊満な裸婦像などの人物画に独自の境地を拓いた。日本など、フランス国外でも人気の高い画家である。
長男のピエールは俳優、次男のジャンは有名な映画監督である。
|
作品紹介: |
ルノアール【ポン・ヌフ、パリ】
1872年 原画サイズ(93.7×75.3cm)
所蔵:ナショナル・ギャラリー
印象派の偉大なる画家ピエール=オーギュスト・ルノワール1870年代を代表する風景画作品のひとつ『ポン・ヌフ、パリ』。画家が印象派の表現技法「筆触分割」を模索していた1870年代初頭に制作され、現在はワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵される本作は、パリ最古の橋として知られる≪ポン・ヌフ橋≫を主題に、そこを行き交う人々と合わせて描き込んだ風景画作品である。本作に描かれるポン・ヌフ橋は1855年の万国博覧会の開催に合わせて推し進められたパリの都市改造計画の一環として近代化されている。橋の上には数台の馬車を始め紳士や日傘を差す夫人、子供たち、兵士など多種多様な人物が大勢描き込まれており、当時のパリの活気と喧騒がよく感じられる。また画面右側に配されるセーヌ河の奥にはアンリ4世の騎馬像を、さらにその奥にはシテ島を確認することができる。画面下部の前景から中景にかけて描かれる近代的なパリの街並みと、上空に広がる空のどこか荒涼とした印象の対比は観る者を強く惹きつける。本作を制作するにあたり、ルノワールはポン・ヌフ橋近くのカフェの上階へ部屋を借り、この戸外の情景を描いたと伝えられるほか、画家の弟エドモンの回想録にはスケッチのために行き交う人々に頼み立ち止まらせたと記されている。本風景は柔らかく素早い筆捌きで描き込まれているものの形象そのものは明確に感じることができ、1870年代中期から後半にかけて制作された画家の作品と比較すると、ルノワール独自の表現描写の変容と進化を見出すことができる。
|
|